頭蓋骨から恥骨へ向けて

写真を撮ったこと、考えたことの記録

僕が海に行ったので。

妻の実家の前には林業のための杉山があり、容赦無く花粉を散らす。
気づいたときには、もう、全てが遅く、全身が倦怠感に包まれていた。
花粉による、アレルギー。涙で視界が滲む。


そういうわけで、というわけでもなく、僕と妻は海に行った。

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犬は、海の音も、毛を濡らす塩水も、嫌いであり。
妻は、眩し過ぎる日差しが、視神経を刺激して、肩こりから、頭痛になるのであり。
毎回僕だけが無心にカメラを構えており、
なんだか大変に申し訳無いことをしている気分になる。
すまぬ、あうあう。



誰かの愛のあと。
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ほとんど誰もいない海は茶色く濁った波を繰り返していた。
同じといえば、同じ、しかし、完全に同一なものが無いパターン。
人間の人生も限りなく近い。
だから、瞬間的に繰り返しぶつかって壊れる水のパターンが怖い。
でも。
誰かの愛のあと、は荒波から遠いところで形成されていたので、少しは長らえるのかも。




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何度もスリッパを空中へ放り投げる僕を見かねて、妻が、





「手伝いませうか」





と、申し出てくれたのだけれども。
休日に僕が海に行ったので、犬は恐怖をするし、妻は頭痛になってしまい。
さすがに。万有引力のスリッパへの適用を何度も確認する愚行。
にまで付き合わせるわけにゆかず。
いや、いいよ、いいんだよ、君。
と、僕らの青い車まで、戻った。わん。
わんわん。花粉辛い。わん。



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